「今日は活動に誘ったのですが、“いや”と言って参加しませんでした」
そんなお話を聞いたとき、
「また言うことを聞けなかったんだ」
「わがままになっているのかな」
「ちゃんと参加できるようになってほしい」
そんなふうに心配になることもあるかもしれません。
「いや」
「やりたくない」
「いかない」
大人にとっては、少し困ってしまう言葉です。
でも、私たちはその「いや」を、
ただのわがままや困った行動として終わらせたくないと思っています。
なぜなら「いや」と言えたということは、
「自分は今、こう感じている」
という自分の気持ちに気づき、
それを誰かに伝えようとしたということだからです。
子どもたちは最初から上手に気持ちを伝えられるわけではありません。
本当は「ちょっと怖い」のかもしれない。
「どうやってやるのか分からない」のかもしれない。
「まだ遊んでいたかった」のかもしれない。
ただ今日は、なんとなく気持ちが向かなかったのかもしれません。
その全部が、最初は「いや」の一言に詰まっていることがあります。
だから私たちは、
「いやって言わないの」と、その気持ちを消してしまうのではなく、
「やりたくなかったんだね」
「ちょっと怖かった?」
「みんなが終わってからやってみる?」
まずは、その子の「いや」の中にある気持ちを知ろうとします。
もちろん、「いや」と言えばすべてやらなくていい、ということではありません。
生活していく中では、
やりたくなくても取り組まなければならないことや、
少し頑張って乗り越えていく経験も必要です。
だからこそ、
気持ちは受け止める。
でも、必要なことは分かりやすく伝える。
そして「いや」だけだった言葉が、
「あとでやる」
「手伝って」
「怖い」
「これが終わったらやる」
そんな言葉に少しずつ変わっていくように、一緒に練習していきます。
自分の気持ちを伝えることと、
相手の気持ちやルールを知ること。
その両方を経験していくことも、療育の大切な役割だと考えています。
今日、「いや」と言ったお子さん。
もしかすると今日は、
上手に活動へ参加できなかった日だったかもしれません。
でも、
「自分の気持ちを誰かに伝えられた日」でもあります。
言えた「いや」を否定するのではなく、
その先の「どうしたい?」を一緒に見つけていく。
いつか「いや」の一言だけではなく、
自分の気持ちを自分の言葉で伝えられるように。
今日の「いや」も、
そのための大切な一歩です。
「いや」と言って、立ち止まったように見えた今日。
でも本当は、立ち止まったのではなく、
自分の気持ちを誰かに伝えるために踏み出した、
小さくても、とても大切な一歩だったのだと思います。
前に進むことだけが、成長ではありません。
自分の気持ちに気づくこと。
それを誰かに伝えてみること。
そして、受け止めてもらうこと。
そんな経験を重ねながら、
子どもたちは少しずつ「自分の気持ちを伝える力」を育てていきます。
今日もお子さんは、自分なりの方法で一生懸命伝えてくれました。
私たちは、その「いや」の奥にある気持ちまで、
ちゃんと見つけていきたいと思っています☺
